00.淡桃クラブハイ

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「な、なぁ…。聞きたいことは色々あるんだが、まずは自己紹介しようか。僕の名前は黒塚 秋人(くろつか あきと)、2年だ」 丁寧に話を進めたつもりだったが、どうやら彼女の反応は不満なようだ。 「ちょっと、それだけ!? もっと、もっとほら! なんかないの!? 名前と学年だけって…ていうか先輩!?」 言ってなかったから至極当たり前なのだが、やはり彼女のテンションにはついていける自信がない。 はぁ…と深いため息をつかれた。 そんなにつまらない事につまらない情報がなかったのがご不満か。 なら仕方n… 「私は桜木 桃花(さくらぎ ももか)。好きなハンバーグはスパゲッティで嫌いなものはない! モンブランはカニコロッケでカルボナーラよ! でも私はステーキが一番すてーk」 「すとぉぉぉおっぷ!!! とりあえず君の名前は桃花で、食べ物しか頭にないってことはよくわかった。わかったから落ち着いてくれ」 このままヒートアップすると鞄にある胃薬を取りに行くはめになりそうだ。 なによもー、ぶーと頬を膨らませているところは素直に可愛いと思いました。 「で…最早聞きづらさまで覚えるほど背景と一体化してるあれは…」 奥にいる二人組のことである。 「あー、あれ…私がSF部に入る前からあそこにいたの。騒ぎこそ起こさないものの、仕事中は無口すぎて近寄れないわ。でも、仕事以外の時は普通にコミュニケーション取れるから、その時にでも挨拶しときなさい」 一応、と前置きして彼女から蓮田 弥彦(はすだ やひこ)と赤空 楓(あかそら こかぜ)という名前だけ伝えられた。 どっちが弥彦でどっちが楓なのやら…。 それより。 「仕事ってなんだ? 社会人か」 「はっ、馬鹿ね、そんなわけないでしょ。仕事については分かんないけど、彼らが口を揃えて仕事仕事って言うから、それに合わせてるだけよ。特に深い意味も無いと思うけど」 冗談を鼻で笑われるところは、まだ僕のユーモアは人類には早すぎるらしい。 謎だらけなのが何ともSF部らしい。 「もう一つ気になる点があるんだが、他の部員たちは? 噂では、君がたくさん呼び込んだとか聞いたんだけど」 「ああ、それならそろそろ」 「「ゾンビ万歳!!!!」」 帰ってくる頃よ、と苦笑いでドアの外で聞こえた大声に遅れて続けた。
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