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「な、なぁ…。聞きたいことは色々あるんだが、まずは自己紹介しようか。僕の名前は黒塚 秋人(くろつか あきと)、2年だ」
丁寧に話を進めたつもりだったが、どうやら彼女の反応は不満なようだ。
「ちょっと、それだけ!? もっと、もっとほら! なんかないの!? 名前と学年だけって…ていうか先輩!?」
言ってなかったから至極当たり前なのだが、やはり彼女のテンションにはついていける自信がない。
はぁ…と深いため息をつかれた。
そんなにつまらない事につまらない情報がなかったのがご不満か。
なら仕方n…
「私は桜木 桃花(さくらぎ ももか)。好きなハンバーグはスパゲッティで嫌いなものはない! モンブランはカニコロッケでカルボナーラよ! でも私はステーキが一番すてーk」
「すとぉぉぉおっぷ!!! とりあえず君の名前は桃花で、食べ物しか頭にないってことはよくわかった。わかったから落ち着いてくれ」
このままヒートアップすると鞄にある胃薬を取りに行くはめになりそうだ。
なによもー、ぶーと頬を膨らませているところは素直に可愛いと思いました。
「で…最早聞きづらさまで覚えるほど背景と一体化してるあれは…」
奥にいる二人組のことである。
「あー、あれ…私がSF部に入る前からあそこにいたの。騒ぎこそ起こさないものの、仕事中は無口すぎて近寄れないわ。でも、仕事以外の時は普通にコミュニケーション取れるから、その時にでも挨拶しときなさい」
一応、と前置きして彼女から蓮田 弥彦(はすだ やひこ)と赤空 楓(あかそら こかぜ)という名前だけ伝えられた。
どっちが弥彦でどっちが楓なのやら…。
それより。
「仕事ってなんだ? 社会人か」
「はっ、馬鹿ね、そんなわけないでしょ。仕事については分かんないけど、彼らが口を揃えて仕事仕事って言うから、それに合わせてるだけよ。特に深い意味も無いと思うけど」
冗談を鼻で笑われるところは、まだ僕のユーモアは人類には早すぎるらしい。
謎だらけなのが何ともSF部らしい。
「もう一つ気になる点があるんだが、他の部員たちは? 噂では、君がたくさん呼び込んだとか聞いたんだけど」
「ああ、それならそろそろ」
「「ゾンビ万歳!!!!」」
帰ってくる頃よ、と苦笑いでドアの外で聞こえた大声に遅れて続けた。
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