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「飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい飛びたいあーーーーー!飛びたーい!飛びたい飛びたい飛びたい飛びたい・・・!」
とある南の島。
マングローブの木々は青々としげり、光の蔭を作っていた。
一羽のヤンバルクイナ。
名前をヨナクと呼ばれていた。
ヤンバルクイナのヨナクは、空を見上げた。
「いいよなあ・・・みんな。空を自由に飛べて。わんねー(僕は)、鳥なのに。何で?何で?僕だけ飛べないの?ねえ、おてんとさん!何で?」
そこに雲間から、すーっと一羽のルリカケスがヤンバルクイナのヨナクのそばに飛んできた。
「それはねー、君がヤンバルクイナだからさっ!ばーははーい!」
ルリカケスのデナは笑いながら、ヨナクの周りを飛び回ってすーっと空に向かって飛んでいった。
「何さっ!何さっ!嫌みかよ!」
ヤンバルクイナのヨナクはふて腐れた。
てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく・・・
ヤンバルクイナのヨナクは、マングローブの根っ子が生い茂った地面を歩いた。
てくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてくてく・・・
「あー、延々歩くのがめんどっちいくなった。」
バサバサっ!
「何だいっ!」
ヤンバルクイナのヨナクの上を何者かがかすめ飛んできた。
「やーいやーい!君は森の底で散歩がお似合いだねえ。はははは!」
ノグチゲラのフテンは、ヤンバルクイナのヨナクの前をはばかってきた。
「どいて!」「やだ。」「どいて!」「やだ。」「どいて!」「やだ。」「どけったら!」「はいどいた!」
「おっとっとっと!」
ドスッ!
ヤンバルクイナのヨナクは、勢い余ってその場で転倒した。
「いたたたた・・・」
「やーいやーい!悔しかったら、ここまで飛んできて見せろー!」
ノグチゲラのフテンにからかわれたヤンバルクイナのヨナクは、さすがにカチン!ときた。
「わんにん(僕も)、飛びたいときには、空を自由翔べるんだ!」
ヤンバルクイナのヨナクは、羽根をバタバタと羽ばたいてみた。
「よいしょ!」
ヨナクは、マングローブの根っ子をぴょーんと飛び越えた。
「どうだい!」
「ふーん・・・」「えっ?何?」
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