第1章

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「はぁっ、はぁっ」 乱れた呼吸を整えるため、木の影に隠れてしゃがみ込む。今にも肺が破裂しそうな程に苦しい。しかし奴らは疲労や苦痛にもお構いなしに襲って来る。悠長に休んでいる暇はない。 ――ちくしょう見失った。どこだ?どこにいるんだ? 木の根本から覗き込むようにして辺りを見渡す。しかし視界に写るのは樹齢5000年を越す大樹ばかりである。 周囲は危険を含んだ沈黙に包まれていた。このままでは、いずれ奴らに見つかってしまう。
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