第1章

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神経を研ぎ澄ませる、全身から吹き出る汗や渇ききったカラカラののどを意識の外側へと押しやり、ひたすらに所在の知れない敵に備える。 一瞬がまるで永遠に感じられる程の濃密な時間がゆっくりと過ぎ去って行く。 しかし突如、永遠は終わりを迎える。 それにはガサリという不吉な音が後方の草の茂みから発せられたことが起因していた。音の発生とほぼ同時に素早く振り返り音の出所を見つめる。 茂みは先程と同じようにガサガサと音をたてているが、音の主は見当たらない。 音から察するに、どうやら茂みを掻き分けてこちらへ向かって来ているらしい。
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