プロローグ

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レジで会計を済ませ、急いで会社へ向かって歩いた。 残りの休憩時間も気になったけど、とにかく早く逃げたかった。 明日からは必ず早起きしてお弁当を作ろう。 万が一寝坊しても、何か買って会社の休憩室で食べよう。 会社なら上司も居るし、こんな目に遭うこともきっとない。 通りのウィンドウに映る自分。 会社から支給された制服をそのまま着てるだけ。スカート丈、変なのかな・・・。身長が低いからだろうか。 そういえば、他の女の子に比べて足が短く見える気もする。全く踵の無いローファーのせいもあるだろうか。 確かに、こういうバランスの人見たことないかもしれない。 これまでそんなこと気にしてなかったのに。強がりを言ってみても、私はさっきの悪口を完全に気にしている。 いつの間にか足を止めてウィンドウと向かい合っていた。 ふと気がつくと、ウィンドウに映るバランスの悪い自分の後ろに誰かが立っている。 素晴らしくバランスのとれた背の高い男。細身のスーツをキレイに着こなしている。 私はビクリとして、その誰かから一歩飛び退いた。 「ねえ、君が噂の栗原さん?」
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