第9章

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「相田君は、いいバーテンダーにもピアニストにもなれそうだね」 「そうなるといいっすけどね。」 「因みに、このロングランドアイスティーはカクテル言葉遊びしてるよね?」 「うっ、さすがゆーちゃん先輩。ちょっとわかりやすぎました?」 私は首を横に振って笑うと、相田君は不思議そうに私を見つめた。 「カクテル言葉で、女性にカクテルを出せるのは、いい男になれる証だからね」 そのタイミングで、未央君がケーキを切り分けて戻ってきた所で話は流れた。 今年のケーキは、去年よりもう一回り小さいもので、タルトで用意してもらった。ここのケーキの本当のイチオシはタルトだからだ。 「まじで!ゆーちゃん!ここのタルトしかもこれ時間限定でなかなか買えない、いちごタルトですよね?」 「最後だからさ、ちょっとだけワガママきいてもらったのよ」とフォークでいちごの部分だけをさして口に運んだ。 ニコニコと嬉しそうに、ケーキを口に運ぶ未央君をみて、今年もちゃんと、ここにきて良かったとそう思った。
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