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アレから10年が過ぎ、カノンは15歳になったの。
クサントス姉さんもバリオス兄さんも相変わらず箱を片手にニコニコカノンの成長を見守ってくれてる。
ルベルト兄さんは相変わらず悪戯がバレてフェルお兄様に怒られるのが日課のようになってるよ。
「フェルお兄様、カノンはお外に出てみたいです」
「けどここから出たらカノンは………」
「わかってる。カノンの身体は人一倍弱くて、一人で立てないことも。でも、カノンは外を見ていたいんです、この目で。」
カノンの身体はすごく弱くて走ることもできないの。
今立って、歩けるのもフェルお兄様が常にこのお家に魔力を送ってカノンの体にかかる負担を減らしてくれてる。
それをフェルお兄様はカノンが産まれてからずっとやってるんだって。
それにこのお家はカノンのために建てたらしいの。
詳しくは地下に魔方陣が彫られてて、そこにフェルお兄様が魔力送り続けるらしいの。
フェルお兄様の負担を減らすためにもカノンは外にでたい。
「一人ではダメだよ、カノン、君が外に出るなら私たちも一緒にいく。別に動きを制限するわけじゃないよ?」
「どういうこと?」
「初めから決めていたのだよ。私たちはどんな形でもカノンのそばにいる。君を守るためにみんなで決めたことなんだよ。恨むなら私を恨んでくれ。」
お兄様がみんなと話し合っていたなんて………もっと早く言ってくれればよかったのに。
「お兄様を恨むなんてカノンにはできないよ。それにお兄様は誤解してるわ。」
「――――え?」
「みんなと一緒に出れるならこれほど安心して、カノンが帰るべき場所に帰れるわ。逆にお礼を言いたいぐらいよ」
カノンはフェルお兄様の手を握りしめ、お兄様の顔を見る。
驚いた顔をしたお兄様だったけど、私の手を離し、強く抱き締めてくれた。
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