眠れる森の緋地

3/14
前へ
/249ページ
次へ
せっかく同じ部屋に入院してるんだし、俺達以外にいる人は皆大人だし。 どうしても話し相手が欲しかった俺は無視されてもめげない。 多分、その子が可愛かったから、話しかけてるだけでも楽しかったんだろう。 こんな風に俺が女の子に話しかける事5日。 初めて、そう。本当に初めて俺の言葉に女の子が反応してくれた。 「‥‥‥私、本を読んでるんだけど」 初めて聞いた女の子の声はか細くて、でもその声がまた女の子にぴったりな感じで。 俺は嬉しくなって、また女の子に話しかける。 「俺と友達になってよ」と。 「で、でも私‥‥‥友達とか作った事ないから」 そんな女の子に俺は気にしない気にしないと言って、笑顔を向ける。 それでようやく女の子もちょっとだけ本当に一瞬だけ俺に笑顔を向けてくれた。
/249ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1851人が本棚に入れています
本棚に追加