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自分の耳を疑ってしまうような話だが、今自分に起こった現状と、翔の表情を見ているうちに事実なんだと認識してくる。
そして翔の今の言葉だけで何となく話の筋がつかめてきた。
此奴は先程騎士と姫から勇者だなんて言われていた。つまりだな、この世界の人間が何らからの理由で勇者と喚ばれる人間が必要となり、何らからの手段を用いて異なる世界から勇者となりうる人間を喚んだわけだ。
そしてその対象は今俺の目の前にいる翔になり、その近くにいた俺は勇者の召喚のようなものに巻き込まれちまったわけだ。
…まだこれが真実と決まった訳じゃないが、やっぱり俺はこいつに巻き込まれたのか。
「それでね僕はこの世界の勇者として喚ばれたらしんだ。勿論冥夜も僕と同じ勇者だよ!」
嬉しそうな表情をしながら俺の事も勇者と言ってくるが。
まずそれはないだろう。もし俺が勇者として喚ばれているなら俺が牢屋の中にいた意味が分からない。
それには何らかの理由があるのかもしれないが、あの時の騎士と姫の視線から考えるに、本当は俺まで喚ぶつもりはなかったのだろう。それが何かの手違いで俺も巻き込んでしまった。
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