何で俺ばっかり…

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「ま、まぁ…これも今は放っておくしかない」  かなり動揺しながらも開いた扉の先に視線を向ける。  その部屋の中も暗闇で閉ざされている為に何があるのかは見えなかったが、松明をかざすことによって少しずつ部屋の中が見えてくる。 「剣?」  暗闇の中、一つの台座に突き刺された真っ黒な剣。翔が持っていた剣とは違い、豪華な装飾も何もない、ひと振りの質素な剣。  だけど俺はその剣を見た瞬間、何かに取り憑かれたかのように剣の方へと足を向けていた。  そして何も考えずに剣に手を伸ばし、そして台座から剣を引き抜いた。 -適合者の存在を確認。融合します-  女性の無機質な声が聞こえたと思えば、握った剣は黒い霧に変わり、そしてまたもや俺の右手へと染み込んでいった。 「!?」  そして頭の中に流れ込んでくる大量の情報。  頭の中に次々と流れ込んでくる残酷な光景に思わず吐き気を催してしまう。  んだよこれ…!  やがて頭の中に流れ込んでくる情報と映像は止まり、自然と先程手にした剣の生を口に出す。 「災厄の剣、レーヴァテイン…」  思わず剣の名前を呼ぶと、先程消えた筈の剣が再び右手の中に現れる。  だがその姿は先程の質素なものとは違い、随所の形が変わっており、禍々しい雰囲気を醸し出している。  
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