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-貴方が私の新しいマスター?久しぶりに私を扱える人間が現れたのね-
剣の姿が変わったことに戸惑っている途端に頭の中に響く先程聞こえた女性の声。
「誰だ?」
少しばかり驚くが、こうも立て続けに驚くような事があれば冷静にもなれる。
-んー私の事はレーヴァテインに宿った精霊とでも思ってくれればいいわ-
「精霊…?幽霊みたいなもんか?」
-失礼ね!ちゃんと実態もあるわよ!-
そう頭の中に響くと俺の右腕にまとわりついていた模様が消え、その変わりに浮き出した霧が一箇所に集まり始める。
何事かと眺めていればやがて霧は人の形をとり始め、そして目の前に一人の女性が現れた。
腰まで伸びた銀色に輝く髪をなびかせ、漆黒のドレスを纏った綺麗な女性。思わずその姿に見惚れてしまった。
「ふふ、驚いた?」
「そりゃあ目の前に人が出てくれば驚くだろ」
そう普通に返事を返している自分に自分で驚くが、もう俺は決めた。何が起きようが驚かないと。
「っま、あなたも何がなんだか分からないと思うけど、これから宜しくねマスター」
此方に差し出された小さく綺麗な手を握り返す。
「…宜しく頼む」
正直何が何だか理解出来ないが、その場の流れで此処まで来てしまった。
が、一つだけ分かっている事がある。今此処で手に入れた剣は国一つを簡単に滅ぼす事ができる程の力を持った剣だと言う事が。
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