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此処で嘘をつくとうるさいんだ。
「それじゃあゲームセンターにいこうよ!今日家に帰っても誰もいないから暇なんだ」
眉毛を八の字に垂らし捨てられた犬のような表情をする翔。
そんな表情をしたところで行く気にはなれないけどな。
つってもここはこいつの機嫌を取っておいた方がいい。
前こいつの機嫌を損ねただけでこいつの親から相当な事をされたからな。またあんな目に会うのは御免だ。
「それじゃあ寄ってくか」
「やったね!それじゃあ早くいこうよ!」
そう言いながら俺の腕を掴み、ゲームセンターに向けて走り出そうとする。
が、その瞬間俺と翔を囲むかのように足元が光り始めた。
「!?」
突然の出来事に何も考える事が出来ない。
突然光りを発した足元を見てみれば、そこにあるのはアニメや漫画に描かれているような魔法陣と呼べるもの。見たことのない複雑な文字の羅列が並び、それぞれが違う色を発光している。
そこまで見て気がついた事だが、この魔法陣のようなものは翔を中心として描かれている。
つまり翔が標的って事か?この魔法陣のようなもんが何かは分からないが、自分の身が一番だ!回避出来るのなら回避させてもらう!
そう決断し咄嗟的に魔法陣の外に飛び出すように体を動かそうとするが、その瞬間魔法陣の光りが更に強くなり、それと同時に俺の予期していなかった事態がおこる。
光りが強く光った瞬間に何を思ったのか、翔は握っていた俺の腕を強く引っ張ったのだ。
当然後ろに跳ぼうとしていた俺は対処する事が出来ず、翔に引っ張られるがままに強く光りを発する魔法陣の中心へと身を投げ出すしかない。
「また巻き込まれんのかよ…!」
思わずそう言葉を零してしまい、それと同時に視界の全てを光りが埋め尽くした。
視界の全てが光りで埋まり、何も見えなくなった光景に動揺するが、少しずつ意識が薄れていっているのが自分でも分かった。
それに抗おうと必死に意識を繋ぎとめようとするが、それも無駄に終わり、俺の意識はブラックアウトした…。
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