第一章 書屋の筆 序

3/3
前へ
/3ページ
次へ
ところで、拙僧も名乗らせてもらうとしよう。 字連の書屋が三男、字連の一筆(いっぴつ)と申します。 いやはや、無責任な兄等のおかげで拙僧は今この元服の言葉に困り果てております。 しかし、答えは決まっている。言わねばならん。 「拙僧は……、この書屋に残る気は毛頭ござりません」 これを聞き、親族の顔色が変わる。 正面の父から、唖然、憮然、茫然、愕然、当然、当然……。 ぐるっと一周、百面相が見える。 あぁ、この書屋どうしたものかな。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加