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ミッ○ーマ○スのマーチの口笛。アイツだ!!
軽快に口笛を吹きながら、大男が小を足しているらしい。
女子トイレの女の子の泣き声が一段と激しくなった。何故だ?何故気づかない?
やがて泣き叫ぶ声が断末魔の様な絶叫に変わり、フッと消えた。
何かされたのか?見つかったのか!?
しかし、大男は男子トイレににいるし、他の家族が女子トイレに入った形跡も無い。
やがて、口笛と共に大男がトイレを出て行った。
女の子がトイレから連れ出されてはしないか、と心配になり、
危険を顧みずに、一瞬だけトイレの裏手から俺が顔を覗かせた。
テンガロンハットにスーツ姿の、大男の歩く背中が見える。
「ここだったよなぁぁぁぁぁぁぁァァ!!」
ふいに大男が叫んだ。
俺は頭を引っ込めた。ついに見つかったか!?カズヤは木の棒を強く握り締めている。
「そうだそうだ!!」
「罪深かったよね!!」と父と母。
双子のオッサンの笑い声。
「泣き叫んだよなァァァァァァァァ!!」と大男。
「うんうん!!」
「泣いた泣いた!!悔い改めた!!ハレルヤ!!」と父と母。双子のオッサンの笑い声。
何を言っているのか?どうやら、俺達の事ではないらしいが…
やがて、キャンピングカーのエンジン音が聴こえ、車は去ってった。
辺りはもう完全に明るくなっていた。
変態一家が去ったのを完全に確認して、俺は女子トイレに飛び込んだ。
全ての個室を開けたが、誰もいない。鍵も全て壊れていた。そんな馬鹿な…
後から女子トイレに入ってきたカズヤが、俺の肩を叩いて呟いた。
「なぁ、お前も途中から薄々は気がついてたんだろ?女の子なんて、最初からいなかったんだよ」
2人して幻聴を聴いたとでも言うのだろうか。
確かに、あの変態一家の女の子に対する反応が一切無かった事を考えると、それも頷けるのではあるが…
しかし、あんなに鮮明に聴こえる幻聴などあるのだろうか…
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