ヒッチハイク【恐い系】

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駐車場から上りと下りに続く車道があり、そこを下れば確実に国道に出るはずだ。 しかし、再び奴らのキャンピングカーに遭遇する危険性もあるので、あえて森を突っ切る事にした。 街はそんなに遠くない程度に見えているし、周囲も明るいので、まず迷う可能性も少ない。 俺達は無言のまま森を歩いた。 約2時間後、無事に国道に出る事が出来た。 しかし、着替えもない、荷物もない。 頭に思い浮かんだのは、あの親切なコンビニの店長だった。 国道は都会並みではないが、朝になり交通量が増えてきている。 あんな目にあって、再びヒッチハイクするのは度胸がいったが、何とかトラックに乗せて貰える事になった。 ドライバーは、俺達の汚れた姿に当初困惑していたが、事情を話すと快く乗せてくれた。 事情と言っても、俺達が体験した事をそのまま話してもどうか、と思ったので、 キャンプ中に山の中で迷った、と言う事にしておいた。 運転手も、そのコンビニなら知っているし、良く寄るらしかった。 約1時間後、俺達は例の店長のいるコンビニに到着した。 店長はキャンピングカーの件を知っているので、そのまま俺達が酷い目にあった事を話したのだが、 話してる最中に、店長は怪訝な顔をし始めた。 「え?キャンピングカー?  いや、俺はさぁ、君達があの時、急に店を出て国道沿いを歩いて行くので、止めたんだよ。  俺に気を使って、送ってもらうのが悪いので、歩いていったのかな、と。  10mくらい追って行って、こっちが話しかけても、君らがあんまり無視するもんだから、  こっちも正直、気ィ悪くしちゃってさ。  どうしたのさ?(笑)」 …どういう事なのか。 俺達は確かに、あのキャンピングカーがコンビニに止まり、レジで会計も済ませているのを見ている。 会計したのは店長だ。もう1人のバイトの子もいたが、あがったのか今はいない様だった。 店長もグルか??不安が胸を過ぎった。カズヤと目を見合わせる。 「すみません、ちょっとトイレに」とカズヤが言い、俺をトイレに連れ込む。 「どう思う?」と俺。 「店長がウソを言ってるとも思えんが、万が一あいつらの関連者としたら、って事だろ?  でも、何でそんな手の込んだ事する必要がある?みんなイカレてるとでも?まぁ、釈然とはしないよな。  じゃあ、こうしよう。大事をとって、さっきの運ちゃんに乗せてもらわないか?」
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