ヒッチハイク【恐い系】

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「どうした?」とドライバーのお兄さん。 「止めて下さい!!」 「は?」 「すみません、すぐ済みます!!」 「まさかここで降りるのか?まだ市街は先だぞ」と、しぶしぶトラックを止めてくれた。 この問答でカズヤも起きたらしい。 「どうした?」 「あれ見ろ」 俺の指差した方を見て、カズヤが絶句した。 朽ち果てたドライブインに、あのキャンピングカーが止まっていた。 間違いない。色合い、形、フロントに描かれた十字架…しかし、何かがおかしかった。 車体が、何十年も経った様にボロボロに朽ち果てており、全てのタイヤがパンクし、窓ガラスも全て割れていた。 「すみません、5分で戻ります、5分だけ時間下さい」とドライバーに説明し、 トラックを路肩に止めてもらったまま、俺達はキャンピングカーへと向かった。 「どういう事だよ…」とカズヤ。こっちが聞きたいくらいだった。 近づいて確認したが、間違いなくあの変態一家のキャンピングカーだった。 周囲の明るさ・車の通過する音などで安心感はあり、恐怖感よりも「なぜ?」と言う好奇心が勝っていた。 錆付いたドアを引き開け、酷い匂いのする車内を覗き込む。
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