ヒッチハイク【恐い系】

17/18

657人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
「オイオイオイオイ、リュック!!俺らのリュックじゃねぇか!!」 カズヤが叫ぶ。 …確かに、俺達が車内に置いて逃げて来た、リュックが2つ置いてあった。 しかし、車体と同様に、まるで何十年も放置されていたかの如く、ボロボロに朽ち果てていた。 中身を確認すると、服や日用雑貨品も同様に朽ち果てていた。 「どういう事だよ…」 もう1度カズヤが呟いた。 何が何だか、もはや脳は正常な思考が出来なかった。 とにかく、一時も早くこの忌まわしいキャンピングカーから離れたかった。 「行こう、行こう」 カズヤも怯えている。 車内を出ようとしたその時、キャンピングカーの1番奥のドアの向こうで、「ガタッ」と音がした。 ドアは閉まっている。開ける勇気はない。 俺達は恐怖で半ばパニックになっていたので、そう聴こえたかどうかは、今となっては分からないし、 もしかしたら、猫の鳴き声だったかもしれない。 が、確かに。その奥のドアの向こうで、その時はそう聴こえたのだ。 「マ ー マ ! ! 」 俺達は叫びながらトラックに駆け戻った。 するとなぜか、ドライバーも顔が心なしか青ざめている風に見えた。 無言でトラックを発進させるドライバー。 「何かあったか?」「何かありました?」 同時にドライバーと俺が声を発した。 ドライバーは苦笑し、 「いや…俺の見間違いかもしれないけどさ…あの廃車…お前ら以外に誰もいなかったよな?  いや、居るわけないんだけどさ…いや、やっぱ良いわ」 「気になります、言って下さいよ」とカズヤ。 「いやさ…見えたような気がしたんだよ。カウボーイハット?って言うのか?  日本で言ったら、ボーイスカウトが被るような。それを被った人影が見えた気が…  でよ、何故かゾクッとしたその瞬間、俺の耳元で口笛が聴こえてよ…」 「どんな感じの…口笛ですか?」 「曲名は分かんねぇけど、こんな感じでよ(口笛を吹く)…いやいやいや、何でもねぇんだよ!俺も疲れてるのかね」 運転手は笑っていたが、運転手が再現してみた口笛は、ミッ○ーマ○スのマーチだった。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

657人が本棚に入れています
本棚に追加