勇者系【鬱話】

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王様「ところで勇者様、そろそろ魔王討伐までのお話などをいただければと思います」 勇者「んー、そうね。ハラも膨れたし」 王様「できれば、お仲間方の勇敢なる最後なども聞かせていただければと思います」 勇者「へいへい。そんじゃ行きますかね」 姫様「期待しております勇者様」 勇者「うーっす」 壇上 勇者「えー、どうも勇者です」 ザワザワ 「おお、あれが……」 「憎き魔王を……」 「英雄だ」 ザワザワ 勇者「そんじゃあどっから話しますかね。んー、そうね。食い物の話でもするか」 王様「ゆ、勇者様!?」 勇者「ん? どしたの?」 王様「で、できれば冒険のお話を……」 勇者「メシだって冒険の一部だよ。嫌ならメシ食いに戻るぞ俺」 王様「も、申し訳ありません。続けてください」 勇者「うーい。えーっと、皆さん、今日は美味い物いっぱいありますよね。俺もさっきから驚きっぱなしなぐらい美味いものばっかです」 勇者「こんな美味い物食ったのは半年ぶりぐらいです」 勇者「じゃあ普段は何を食ってたんだって話ですが、皆さんは街の周りにいるあばれイモムシとか、どくウサギとか食ったことあります?」 ザワザワ 勇者「ははは、ないっすよねえ。下ごしらえ大変だし、大変な割には美味くもないし。何より、それは魔物だし」 勇者「えー、ですが、牛や豚や鳥や、畑で採れる野菜なんてのは人間が飼ってたり作ったりしたものでして」 勇者「そして俺や仲間は魔族が支配してた土地を冒険していたわけで」 勇者「なあ王様」 王様「は、はい」 勇者「この世界に、人間の国や街や村が大体どれぐらいあるか把握してる?」 王様「え、ええと……大きい国は5つ。街や村で考えると……100は無いかと」 勇者「ふむ。その中で、魔王の居城の近くにある街や村の数は?」 王様「……0です。あっても魔王に支配されているか、滅ぼされているか」
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