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姫様「……魔法のことはよくわかりませぬ」
勇者「ですよねー。普通に生活してたら、あんま馴染みないもんね攻撃魔法って」
勇者「えっとね、毒や酸の魔法をよく使うようになったんだ」
姫様「毒や酸ですか?」
勇者「うん。でね、ピンとこないかもしんないけれど、この魔法って凄いのよ」
勇者「まず酸だけど、魔法で造り出した強力な酸って、多分みんなが想像してるよりずっと怖い」
勇者「地面とか溶けちゃって穴が開いちゃうし、これを敵に当てたら……ね?」
王様「…………」ゴクリ
勇者「悲鳴がね、耳から離れないんだ」
勇者「腕が、足が、指が、目が、耳が溶けていく魔物の悲鳴」
勇者「最初に話したけど、魔王の城に近ければ近いほどに魔物の知能は上がっていく」
勇者「人の言葉でね、俺達の使う言葉でね、泣き叫ぶんだ」
勇者「魔物を食べるって話をしたじゃん? あれはさ、ある意味、まだマシなのかもしれない」
勇者「だってさ、生きるためじゃん。食べないと死んじゃうから殺して食べる」
勇者「動物が動物を殺して食べる。世界の正しいあり方なのかもしれない」
勇者「だけど、魔法使いは違った」
勇者「苦しめたいからコロす。憎いからコロす。コロしたいからコロす」
勇者「狂った殺人鬼のでっきあっがりーってもんですよ」
姫様「う……ひっぐ……」
勇者「ありゃま、泣いちゃった。まずいなー、俺フェミニストなのに。ごめんなー」
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