勇者系【鬱話】

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勇者「僧侶が見つけたとき、俺はっつうか、俺だったモノは指のかけらぐらいだったみたいでね」 勇者「普通、人が蘇生するためにはその人のパーツ、肉片でも灰でもいいんだけれど、半分以上は欲しい。せめて2/3は欲しいってのが常識でして」 勇者「つまり俺の蘇生は絶望的。ここで僧侶も諦めて帰っちゃえばよかったのになーとは今でも思う」 勇者「でも僧侶は諦めなかった。俺の身体の再生と蘇生を実行することにしたんだ」 勇者「と、ここで突発問題! ここで更に問題が発生します! それはなんでしょーか! 王様でも姫様でも、どちらが答えても構いません!」 王様「…………」 姫様「そういう気分ではございません……」 勇者「あーあ、残念。えーっと、勇者マークは……あー、足りてないねー。まあ後からだね」 王様「?」 姫様「?」 勇者「さてその問題とは、蘇生魔法は難易度の高い魔法だってことです」 勇者「元々、蘇生魔法を使う場合、簡易的な結界みたいなものを張って使うんだけれど、ここは魔王の城な訳で」 勇者「そんなもん張ったら、一発で魔王にバレちゃう可能性が高い。つうか確実にバレる」 勇者「そうなると俺の蘇生どころの話じゃないわけで」 勇者「更に、使う魔力だってべらぼうに必要で、今回はそれに高等な再生の魔法もミックスしなきゃいけないときたもんで」 勇者「もうねー、奇跡でもおきない限り無理! 無理無理無理無理かたつむり!ってぐらいの無理難題だったのよ」 姫様「ですが、勇者どのがここにいらっしゃるということは」 勇者「うんそう。でも、奇跡なんて起きてないよ」 姫様「え? でしたらつまり?」 勇者「すげえ強引な手を使ったんだあいつ」 姫様「強引な手?」 勇者「そ。だから死んだんだ」
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