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勇者「俺が気付いたとき、辺りは真っ赤だった」
勇者「身体を再生して、死んでたところを無理やり引き戻されて、痛みや吐き気で転げまわっってた」
勇者「でも嬉しかった。僧侶が必死になって蘇生させてくれたんだとわかってたから」
勇者「だから、ゲロをまき散らしながら、がくがく震えながら、それでも立って僧侶を探したんだ」
勇者「でも、僧侶は僧侶じゃなくなってた」
勇者「あたり一面に割れた回復の薬のビンや、使い終わったスクロールなんかが落ちてた」
勇者「どれも魔力を回復するためのシロモノだったよ」
勇者「僧侶が何をやったのかは簡単な話だ。色んな工程を魔力で強引に押し切ったってだけ」
勇者「当然、そんなことしたら魔力なんてすぐ空っぽになるわけで」
勇者「なので、無くなるそばから薬をがぶ飲みしたりスクロールで強引に回復させて、また魔法を使ってって訳」
勇者「でもなー。人の体って、限界みたいなものがあるじゃん?」
勇者「僧侶がやったのは、その許容量を遥かに越えるような事なのよ」
勇者「そして僧侶は……」
王様「魔力に耐えられず、消滅……?」
勇者「だったらマシだった」
勇者「部屋の端っこにね、もぞもぞ動くものがあったんだ」
勇者「なんだろー?って思って近づいてみたら、子供ぐらいの大きさのピンクの肉がもぞもぞしててな」
姫様「や……やめて……」
勇者「やめねえよ。お前らが楽しみにしてたみんなの話だ。聞けよ」
勇者「あいつなー、僧侶なー、回復魔法を垂れ流すだけの肉の塊になってたんだよ」
勇者「どっかの文献にあったんだけど、回復魔法を延々と流し続ける石ってのがこの世にはあるらしくてさ」
勇者「僧侶は、多分それに近い物になったんだと思う」
勇者「つうか、そんな石より凄いもんになったとも言えるね」
勇者「それって一抱えぐらいあるんだけれど、持ってるだけで傷が治っちゃうのよ」
勇者「そんで、持ってたら僧侶の声っていうか、意識みたいなのが流れてきた」
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