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勇者「『食え』」
王様「は?」
姫様「え?」
勇者「いやだから『食え』って言われたの」
王様「え? いやその……」
姫様「何を……?」
勇者「僧侶だった肉を」
王様「…………」カタカタカタカタ
勇者「だから食った」
姫様「そんな……僧侶どのの最後がそんな……」
勇者「ああ、勘違いしないでね。僧侶は俺を蘇生してる時に死んだんだよ」
姫様「でも、先ほど僧侶どのは、その、肉に」
勇者「肉は肉。あいつと一緒にするな」
姫様「す、すみません!」
勇者「とまあ、そんな訳で勇者パーティーは全滅しましたとさ。おしまい」
王様「全滅? で、ですが勇者様は」
勇者「ああ、俺? んー、どうなんだろ? 今の俺って勇者って言えるのかね?」
勇者「勇者ってのはさ、人のために生きて、人の為に魔王を倒す人でしょ?」
勇者「俺はさ、肉を食った瞬間から、いや違うな。もうずーっと前から、人の為になんか戦ってなかったと思うんだ」
勇者「誰かのために戦ってたんだとしたら、仲間の為なんだと思うよ」
勇者「そういう意味じゃ僧侶が死んだ瞬間、俺はもう勇者なんかじゃなくなってたんだと思う」
勇者「一応ね、魔王は倒したよ。そりゃねえ、常に回復しっぱなしの状態ですもん。例え即死魔法打ち込まれても死ねないとかどうなのー?って感じですよ」
勇者「あー、そうだ。もう一個、重大なことがあるんだ」
王様「一体、これ以上に何が」
勇者「そう難しいことじゃないよ。簡単簡単。僧侶の願い事なんだ」
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