勇者系【鬱話】

22/25
前へ
/251ページ
次へ
勇者「『食え』」 王様「は?」 姫様「え?」 勇者「いやだから『食え』って言われたの」 王様「え? いやその……」 姫様「何を……?」 勇者「僧侶だった肉を」 王様「…………」カタカタカタカタ 勇者「だから食った」 姫様「そんな……僧侶どのの最後がそんな……」 勇者「ああ、勘違いしないでね。僧侶は俺を蘇生してる時に死んだんだよ」 姫様「でも、先ほど僧侶どのは、その、肉に」 勇者「肉は肉。あいつと一緒にするな」 姫様「す、すみません!」 勇者「とまあ、そんな訳で勇者パーティーは全滅しましたとさ。おしまい」 王様「全滅? で、ですが勇者様は」 勇者「ああ、俺? んー、どうなんだろ? 今の俺って勇者って言えるのかね?」 勇者「勇者ってのはさ、人のために生きて、人の為に魔王を倒す人でしょ?」 勇者「俺はさ、肉を食った瞬間から、いや違うな。もうずーっと前から、人の為になんか戦ってなかったと思うんだ」 勇者「誰かのために戦ってたんだとしたら、仲間の為なんだと思うよ」 勇者「そういう意味じゃ僧侶が死んだ瞬間、俺はもう勇者なんかじゃなくなってたんだと思う」 勇者「一応ね、魔王は倒したよ。そりゃねえ、常に回復しっぱなしの状態ですもん。例え即死魔法打ち込まれても死ねないとかどうなのー?って感じですよ」 勇者「あー、そうだ。もう一個、重大なことがあるんだ」 王様「一体、これ以上に何が」 勇者「そう難しいことじゃないよ。簡単簡単。僧侶の願い事なんだ」
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

657人が本棚に入れています
本棚に追加