勇者系【鬱話】2【僧侶の日記】

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今日、勇者から「一緒に冒険に行こう」と言われた。 とても嬉しい。反面、これから先の冒険の旅を思うと少し怖くもある。 ここまで書いている途中で、私の中に断るという選択肢が無いことに気付き、恥ずかしさと嬉しさを覚える。 旅立ちの初日、彼のもとへ行くと先客がいた。 彼と私の幼なじみでもある、戦士と魔法使いだ。 最近は、お互いの職が別のものでもある事もあり、疎遠になっていた。 特に、魔法使いとは彼のこともあり、自分から関わらなかった面もある。 私は臆病者だ。 冒険の旅に出て数日。 どうしても魔法使いとギクシャクしてしまう。 彼女は今も彼に想いを寄せているのだろうか。 こんな事ばかりを考える私は、本当に嫌な女だ。 今日、魔法使いに呼び出された。 彼女は泣きながら私を叩き、昔、彼に想いを寄せる私を見て身を引いたことを話してくれた。 そして、今の私を見るのは辛いと。こんな思いをする為に身を引いたのではないと言ってくれた。 私たちは、同じことを思って身を引いていたのだ。 ごめんね、魔法使い、勇者。
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