勇者系【鬱話】2【僧侶の日記】

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パーティー内の不和が解消された為か、冒険の旅は順調に進んでいる。 だが、別の問題が発生した。水と食料の問題だ。 今いる場所から次の村までは、どう見積もっても数日かかる。しかし、前の村まで戻るのも数日かかってしまう。 選択肢はそう多く無い。 近辺にいた、牛に似た魔物と蛇に似た魔物を食べた。 魔物の血で喉を潤し、魔物の肉で空腹を癒す。 どうやら蛇に似た魔物には毒性があったようで、先ほどから吐き気が止まらない。 鳥に似た魔物と、野生のリンゴを少し手に入れた。 リンゴを衰弱の激しい魔法使いに食べさせるが、全て吐いてしまった。 魔法使いの泣き声で眠れない。 眠れない。 ようやく村を見つけ、転がり込むように入った。 村は貧しく、食料はそんなに多く無いという。 村長へお金や道具を渡し、なんとか一晩の滞在と僅かな水と食料を分けてもらう。 村の住人は、私たちを心良くは思っていないらしい。 勇者のパーティーは魔物から狙われている存在で、そんな一味が居ることは百害あって一利なしという事なのだろう。 そんな状態でも、一晩の宿と貴重な食料や水を与えてくれたのだ。 彼らは悪くない。彼らは悪くない。彼らは悪くない。 神よ、我らを救い給え。
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