ヒッチハイク【恐い系】

8/18

657人が本棚に入れています
本棚に追加
/251ページ
俺達は車の外に降りた。良く見ると、男が川の傍で焚き火をしていた。 まだ仲間がいたのか…と、絶望的な気持ちになった。 異様に背が高くゴツい。2m近くはあるだろうか。 父と同じテンガロンハットの様な帽子をかぶり、スーツと言う異様な出で立ちだ。 帽子を目深に被っており、表情が一切見えない。 焚き火に浮かび上がった、キャンピングカーのフロントに描かれた十字架も、何か不気味だった。 ミッ○ーマ○スのマーチの口笛を吹きながら、男は大型のナイフで何かを解体していた。 毛に覆われた足から見ると、どうやら動物の様だった。 イノシシか野犬か…どっちにしろ、そんなモノを食わさせるのは御免だった。 俺達は逃げ出す算段をしていたが、予想外の大男の出現、大型のナイフを見て、萎縮してしまった。 「さぁさ、席に着こうか!」と父。 大男がナイフを置き、傍でグツグツ煮えている鍋に味付けをしている様子だった。 「あの、しょんべんしてきます」とカズヤ。 逃げようと言う事だろう。俺も行く事にした。 「早くね~」と母。 俺達はキャンピングカーの横を通り、森に入って逃げようとしたその時、 キャンピングカーの後部の窓に、 異様におでこが突出し、両目の位置が異様に低く、両手もパンパンに膨れ上がった容姿をしたモノが、 バン!と顔と両手を貼り付けて叫んだ。 「マーマ!!」 もはや限界だった。俺達は脱兎の如く森へと逃げ込んだ。
/251ページ

最初のコメントを投稿しよう!

657人が本棚に入れています
本棚に追加