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戦士が一言もしゃべらない。
戦士の次にお喋りな魔法使いは死亡しているため、とても静かだ。
魔法使いの腐敗が進んでいるのか、鼻を突く臭いがそこら中に漂う。
腐臭に寄せられてか、魔物の数も増えた気がする。
私の選択は間違っていたのだろうか。
馬車の中の魔法使いの遺体にハエがたかっている。
戦士が必死になって追い払ってはいるが、魔法使いの身体から湧いているのだから根本的な解決にはなっていない。
魔法使いの綺麗な顔はボロボロで、目が糸を引いてこぼれている。
ようやく街を見つけた。
もう鼻は麻痺し、何も感じない。
馬車にはなるだけ近寄らないようにしている。
街へ到着し、勇者一行であることを告げると、長い時間待たされた後に滞在を許された。
魔法使いの遺体は、馬車の中に入れたまま教会へ運ばれた。
戦士は教会へ同行し、私と勇者は宿へと向かう。
明日、王宮にて王と面会することになった。
王宮にて王と面会した。
少なくとも、私は好きになれない相手だ。
面会している間のねめつけるような視線が忘れられない。
面会の後、教会へ向かうが、魔法使いは面会謝絶とのこと。
明日、出直すことにする。
やはり面会は難しいとのこと。
だが、部屋の小窓から覗くことだけは許可された。
最初は意味がわからなかったが、覗いてみて納得した。
死ぬ瞬間のイメージ、蛆が身体を這い回る感触、腐敗していく感覚。
それらが魔法使いの脳と身体を壊し続ける。
拘束具をつけられ、よだれと涙を流し、自分の身体を掻き毟ろうと必死にもがく姿に、以前の優雅さは微塵も残ってはいない。
帰り際、戦士がぽつりと言った言葉が忘れられない。
『俺達は罪人だ』
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