勇者系【鬱話】2【僧侶の日記】

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結論として、遺跡に魔物は確かにいた。 ただし、遺跡にいたのは小さな魔物やその母親と思われる魔物。 この魔物を残せば、いずれ大きくなり人の街を襲うのだろう。 頭では理解している。だが、身体が動かない。 勇者と戦士が泣きながら魔物を斬り、魔法使いが泣きながら魔物を焼き払う。 悲鳴が遺跡にこだまする。 「痛い」「熱い」「殺さないで」「許して」「許して」「許して」 悪酔いしたのか気分が悪い。記録はここまでにしてもう寝よう。 この人の言葉を理解し喋る魔物に関しては、後日、別の報告書を作成し、教会へと提出する予定だ。 街を脅かし続けていた魔物の集団を殲滅したとして、街の中での私達は英雄扱いされた。 産まれたばかりの赤ん坊を一度抱いて欲しいと赤ん坊の母親に言われたが、やんわりと断る。 私達は英雄なんかじゃない。 勇者が次の街への出発を王へ進言したが断られた。 もし命に反するならば、罪人とみなすとまで言われた。 どうやら王は、私達を国の守り手とし、飼い殺しにしたいようだ。 街で噂されている隣国との戦争が近いという噂は本当のようだ。
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