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気がつくと勇者の背に背負われていた。
どうやら私は倒れたらしい。
ぽつりと勇者が「ごめんな」と言った。
弱い自分がまた嫌いでたまらない。
私に続いて、戦士と魔法使いが倒れた。
私たちはここまでか。
勇者が単独で村まで向かった。
動けない私たちは、山で見つけた小さな洞穴で彼を待つ。
夜が怖い。
指が震える。文字を書くのも辛い。
魔物の声が近い。
ここ数日の記録は後日残そうと思う。
一つ言えること。
今、私たちは生きている。
魔物の声が近いと記した後、私たちの匂いを嗅ぎつけたのか、狼のような魔物が数匹現れた。
どうにか撃退するも、戦士の傷は深い。
癒しの魔法を限界まで使い、気絶しては起きてまた使う。
出血が激しかったためか、戦士はしきりに寒いと言う。
夜、魔物が群れをなしてやってきた。
戦士は虫の息だ。
私も魔法使いも傷だらけ。戦士はいつ死んでもおかしくはない。
私が覚えているのはここまで。
勇者が戻ったのはそれから三日が過ぎてからだったという。
私たちの遺体は激しく損傷していたものの、蘇生に必要な1/2は残っていたらしい。
獲物を保存する習性を持っていた魔物に救われるとは、皮肉なものだ。
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