勇者系【鬱話】2【僧侶の日記】

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翌朝、兵によって案内された城は驚くほどに小さいものだった。 故郷のものや、砂漠の国の城よりも二回りは小さい。 更に、王にも驚かされた。 私とそう歳の違わない女王。それがこの国の王。 謁見はあっさりと終わり、私たちは数日の滞在を許された。 何か裏があるように思えて仕方ない。 街で食料や水、装備品を買い込んだ。 様々な人が行き交い、活気が凄い。目に映るものは珍しいものばかりだ。 買い物の際、いくつかのうわさ話を聞くことができた。 海向こうの国との交易により、この国は豊かであること。 女王は若くも思慮深く、民に慕われていること。 砂漠の国の物価が上がり、そこからの交易品が品薄になっていること。 次の目的地は海向こうの国になりそうだ。 海向こうの国へは、どうやっても船で行くしかない事がわかった。 問題は、その為に必要な旅費だ。 日の余裕が無い私たちは、女王へと相談を持ちかけることにした。 せめて旅費が貯まるまでの滞在を許されればいいのだが。 長期の滞在は許されなかった。だが、事態は大きく変化する。 みんな戸惑うばかりだ。 女王の目的がわからない。 女王は滞在の代わりに、旅費の支援を提案してきた。 対価は滞在の間、謁見を決まった時間に行うというものである。 謁見の場にて女王はこれまでの旅の話を聴かせるように命じた。 話の後、宿に戻った今も理由はわからない。
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