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あれから三日後、我々は魔法の国で蘇生された。
何度味わっても、蘇生された瞬間の感覚は慣れることがないだろう。
どれだけ暖かくしても、身体の芯から悪寒が来る。
まるで、あの夜が永遠に終わらないかのようだ。
私たちを見つけたのは街を守る衛兵の一人だったという。
聞けば、街まで残り僅かの場所で馬車が雪にうもれていたらしい。
衛兵へ感謝の言葉をとお願いすると断られた。
これ以上の厄介ごとは御免なようだ。
謝礼に関する書類にサインをし、今日は眠ることにする。
ようやく全員の身体が動くようになった日の昼、王から早急の謁見を申し立てられた。
思うように動かない身体を引きずり謁見の場に向かうと、蘇生の代金として巨額の支払いを命じられた。
相談した結果、支払いの援助を自国に求める案が採用され、勇者が単独で自国へ向かった。
私たちは、勇者が逃亡できない為の人質として捕らえられた。
あてがわれた部屋に三人、押し込まれるように監禁される。
明かりもない暗い部屋の中、すすり泣く魔法使いの声だけが響いていた。
数日が経過したが、まだ勇者は戻らない。
魔法使いは視線を彷徨わせ、何も喋らずただ涙を流す。
戦士は魔法使いに何度も話しかけては頭を垂れる。
私は、そんな二人を虚ろな瞳で見つめ続けていた。
頭の端によぎる、見捨てられたのではないかという考えを何度も打ち消す。
戦士と魔法使いは人形のように無機質な顔でぼんやりとしている。
気が狂いそうだ。いや、もう狂っているのか。
何もわからない。
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