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ある冬の日の雨
手は悴んで、いくら手と手を擦りあわせても温かくならない。
うまく指先が扱えなく、荷物を持つのもやっとだった。
そんな誰もが早く家に帰りたいと思ってしまう今日
傘をさしていて早足に歩いてたから
一瞬素通りしちゃいそうになったけど
私はピタッと足を止め顔を上げる。そこは、いつも通る公園で
柏木「…え」
こんな寒くて最悪な雨の中、
1人の男の子?がベンチに座っていて
ぼーっと薄暗い空を見上げていた。
変な人には声をかけるなって
昔から先生や親に言われてたけど
柏木「あ、の…」
私は声をかけてしまった。
だって、同じ学校の制服を着てるし。
しかもよくよく見てみるとスカートを履いてる女の子だった。
「なに?」
どれだけ、こんな寒い中に居たのだろうか
彼女から発される声は、掠れていて微かに震えていた。
けど、彼女の瞳に私が映った瞬間
私は彼女に全てを吸い込まれそうになった。
ああ、これが初恋というものね←
そんな気持ちに浸っていたら
彼女はいきなり私の腕を掴み、
柏木「きゃ、な、何ですか!?」
「柏木由紀ちゃんだよね?」
驚いた。
こんな美人で格好いい人が
私なんかの名前を知ってるなんて
柏木「はあ…?」
「あ、今何で名前知ってんのコイツって思ったでしょ?w」
柏木「え、いやっ、その」
「ははっ(笑)いい反応。
因みに、佐江の名前は宮澤佐江ねっ」
宮澤佐江と名乗った彼女は
どうやら私のファンらしい。
てか、宮澤佐江ってどこかで聞いた覚えが…
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