猫のいる空き地

一日目

放課後、授業を終えたカズミは寮に向かっていた。

寮の玄関に入ると、出入り口のわきにある共用スペースで総務係の生徒が郵便物を配っているのが見えた。

寮ではたまにこうして生徒宛にくる郵便物を受け渡す日があった。

「あ、橘さんにもきてるよ」

カズミを見つけた係りの生徒が声をかけてきた。そして手紙を一通差し出す。

受け取って差出人を見ると母からだった。

それを見るとカズミはため息が出た。

自室に入り、自分のベッドに腰をかけると手紙を開封した。

文面を目でなぞる。

『カズミへ、元気ですか？　こちらはみんな元気にやっています。

中間テストの成績が出ましたね。数学・英語・地理、そして学年総合で一位、よかったね。

どの教科もがんばっているようでお母さん感心しました。

お父さんも、この結果を見て喜んでいるようでした。

この調子で学業はもとより、訓練やスポーツなどにも積極的に励んで欲しいと思います。

あなたが優秀に成長していってくれて、お母さんは親としてとても誇らしいです。

でも、無理はしないで、あなたらしく東防中での学校生活を送ってね。　母より』