運び屋

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彼は世界的な核戦争後の世界の住人で、地下シェルターの「Vault13」という所に生まれ、住んでいました。 Vaultというのは核戦争を生き延びる為に開発された物で、この中に避難する事で人類は滅亡を免れたと言っても過言はありません。 しかしある時このVault13に問題が生じてしまいます。 浄水装置に組み込まれたチップが正常に働かなくなり、浄水装置が動かなくなってしまったのです。 水が無くては人は生きては行けません、そこで彼はこの問題を解決するため、浄水装置の正常なチップを探すために生まれて初めて地下シェルターであるVaultから地上に出ます。 放射能、略奪者、突然変異を起こしたミュータント、様々な危険を乗り越え、彼はとうとうチップを手に入れ、故郷のVault13へと凱旋します。 しかしそこに待っていたのは厳しい現実でした。 浄水装置は正常な状態に戻ったのは良かったものの、彼は英雄としてこのVault13に残る事を許されなかったのです。 彼のような者が居ては、危険な外の世界へ出て行きたがる者が続出するだろう‥‥彼は故郷を捨て、放浪の旅に出る事を余儀なくされてしまったのです、妻と…妻の胎内に宿った新しい生命を残して‥‥‥ Vault13を背に去って行く彼の背中は、酷く寂しげで‥‥切ないものでした‥‥
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