プロローグ

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長富凜はそこで、リモコンの『電源ボタン』を押した。 ―――つまらない。 今のホラー映画もつまらないが、今の状況もつまらない。 長富凜は寮の自室で、ふかふかのソファーにどっしりと腰掛けながら思った。 あの襲撃事件以来、マスコミ対応などの後始末をしていて、今日もそれを終えてから帰ってきた。 以前は生徒会の仕事にやり甲斐を感じていたが、今はそれも退屈で億劫でしかない。 マスコミ対応というのもそうだが――― 「失ったモノが多過ぎる……」 雲仙やマグナ・マテルも襲撃され被害を受けたが、汐怜が一番被害が大きかった。 校舎は半壊、 風紀委員長は一命は取り留めたものの、重傷により引退。 文化委員長もあの怪我で引退するかと内心冷や冷やしたが、しなかったのが救いだ。 その他の委員長も骨折などの重傷。 図書委員長は捕縛。 そして、情報副委員長の死。あの一二三が、泣いていた。 胸がいっぱいになる。 一二三は「気持ちを。整理。したい」とだけ話し、事実上引退した。 魔術対抗戦争も潰され、学園も休校。 人生に一度の大切な学校生活という時間まで、奴ら―――『グノーシス主義』は奪い去った。 …………いや、私が責められることではないか……。 ―――だが、どうしても憎まずにはいられないのだ。 自らの古巣を―――
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