プロローグ

5/6
前へ
/15ページ
次へ
「ブリュンヒルドです」 ノックと共に自らの二つ目の名を知らせる。 無機質な鉄の扉の向こうの男は「入れ」と野太い声で苛立たしげに私の入室を催促する。 「失礼します」 扉を開け中に入る。中は会議室程度の広さだが、インテリアは部屋を照らすシャンデリアだけだ。中央に向かうにつれ円形の段が五段程連なり、一番中央の段には甲冑を身につけた老人が目をつむっている。 「ブリュンヒルド、呼ばれた理由はわかっているな」 入室の際の声の主、“トール”は遅刻した私に対する苛立ちを露にしている。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加