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「ブリュンヒルドです」
ノックと共に自らの二つ目の名を知らせる。
無機質な鉄の扉の向こうの男は「入れ」と野太い声で苛立たしげに私の入室を催促する。
「失礼します」
扉を開け中に入る。中は会議室程度の広さだが、インテリアは部屋を照らすシャンデリアだけだ。中央に向かうにつれ円形の段が五段程連なり、一番中央の段には甲冑を身につけた老人が目をつむっている。
「ブリュンヒルド、呼ばれた理由はわかっているな」
入室の際の声の主、“トール”は遅刻した私に対する苛立ちを露にしている。
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