――止まったまま――

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僕は笑って、幼子の額に手を当てた。 「では、天。僕の力を分けようか」 光がほわり、と生まれて天の額で溶けた。 飢餓(きが)に苦しんでいるはずの頬が仄かな赤みを帯びた。 苦しげだった息遣いが柔らかくなる。 「苦しく、ない…?」 普通なら夥しい(おびただしい)量の気に変調をきたすものなのに瞬く間に融合した。 大したものだ。 内心感心しながら天に言う。 「与えた力はこの地の気。木々を生やし、恵みの雨を降らす」 「……ということは?」 ちっとも理解していない天に僕は苦笑した。 「祈れば全てが上手くいくはずだ」 ぱっと顔が華やいだ。 それから、目の前で綺麗に転んだ。 「……………」 無言でむくりと起き上がる天。 「……………いたい」 「まぁ、なあ」 頷く僕に顔を歪める天は「ありがとうございました、祠さま!」と言って駆けていった。 ――雨が、降ってきた。
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