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人々は愚かで醜くて、嫌気が差すのです。
しかし、私もその範疇(はんちゅう)に居るのだと思うと何故か情が芽生えるのです。
しょうがない、と。
「私はどうすればいいのでしょう。叶えたくとも、私はもう老いたのです」
顔を覆う(おおう)天に、何も言えなかった。
僕も、思っていたからだ。
眺めていてあぁ、嫌だなあと思っていた。
「老いてなんか、ないだろう」
「いいえ、いいえ。私はもう力がない。使い過ぎたのです」
顔を上げて天が無理に笑った。
「私は役に立たなかったら殺されるそうです」
はっ、と僕は目を見張る。
「真か」
「えぇ。助けた妹は女王になり、私を手駒として扱うのです」
役に立たなかったら、殺すのか――?
「あの病の妹か」
「はい。私、祠さまみたいな自由な神さまが良かったです」
静かな闇夜がやってきた。
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