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「我らと闘おうと云うのかね?」
「先程も説明しましたが、白はこの地の守護龍になる龍です。
いなくなれば、誰がこの地を護るのです?」
「…………
素直に渡してはくれないようだな………
ならば、力付くで貰おう………」
天堺の者は、腰に掛けていた鞘から刀を抜き取り、2人目掛けて振り下ろしてきた。
2人はその攻撃を防ぐかの様に、口から火を吹いた。だが、その攻撃は天堺の者には通用しなく、炎の中から刀を2人目掛けて振り下ろした。
“ズバァ”
肉を切る様な音が、洞窟内に響き渡った。その音と共に2人は地面に力無く倒れ込んだ。2人の体から水の様に血が溢れ出てきた。
「…………
バカな龍共だ……」
刀に付いた血を振り払い、腰に着けていた鞘へしまい、洞窟を後にした。
その頃白は、近くの川辺で石を投げて遊んでいた。
“ジャリ”
「?黄?」
石を踏む音がし、白は黄の名を呼びながら音のした方へ顔を向けた。
そこにいたのは、先程黄達とやり合った天堺の者だった。
「…………誰?」
「…………白だな」
「そうだけど………
何で知ってんだ?」
「青から、君の事を頼むと言われてね………
一緒に来て貰うよ」
「青が?」
「そうだ………
時間がない………」
そう言うと、天堺の者は白の頭に手を置き、呪文の様な言葉を口にした。
すると、白の頭の中にある記憶が次々に消えていった。
呪文を唱え終わると天堺の者は白の頭から手を離した。離したと同時に白は、力無く倒れた。天堺の者は白が倒れる寸前に、白を持ち抱え深い森の中へ姿を消した。
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