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ピピピ………
二羽の鳥の鳴き声が、秋桜(コスモス)畑に響き渡った。秋桜畑の中央に生えていた満開に花を咲かせた、桜の木のしたに読み途中の本を顔に被せながら、銀色の髪を生やした一人の男が寝ていた。
「銀善(ギンゼン)殿!!銀善殿!!」
「…………?」
その声に気付いたのか、銀色の髪を生やした男は、顔に被せてあった本をどかしながら、起き上がった。
「銀善殿、やはりここにいましたか!!」
「何か用か?」
「麗弥(レイヤ)様が、お呼びです。すぐに館へ向かって下さい。」
「姉貴が?
何かあったのか?」
「何でも、下堺から龍の子供を連れてきたとか……」
「龍のガキ?」
「ともかく、麗弥様の所へ」
「分かった分かった(ったく………メンドくせぇ……)」
顔に被せてあった本を手に取り、立ち上がりその場を離れた。
「来たか………」
金色の髪を生やした女が、玉座の様な椅子に腰を掛けながら、横を向いた。
そこには、腕を組ながら玉座に近付いてくる銀善の姿があった。
「何の用だ」
「下堺から、面白いガキを連れてきた。」
「龍のガキか?」
「そうだ………
だが、その龍のガキの親がこりゃまた、面白い」
「?」
「聞いて驚くな?
下堺の守護龍である“白龍”のガキだ」
「白龍のガキだと?」
「そうだ………」
「麗弥様!!」
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