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その夢の中で。
王は、菊を見た。
「菊!無事だったあるか!!」
全開の笑顔で菊に近寄る王。
「来ないでください」
しかし、喜びは菊の一言で疑問へと変わる。
「何であるか!?我はお前を心配して・・・!」
「・・・だから、イヴァンさんと寝た、ということですか?」
「うっ・・・し、仕方ねぇあるよ!菊を護るためでもあるからな!」
菊の様子がおかしいことに気づかず、必死で説得しようとする王。
しかし・・・
「・・・・・見損ないました、耀さん」
はっきりと、失望の色を見せる菊。
え!?と驚く王に彼は無言で何かを指した。
その先を見ると、自分の服が白と赤のまだら模様になっている。しかもイカくさいような、独特の匂いがのぼってきた。
・・・イヴァンのものだ。
ついでに、忘れていたお尻のあたりからつぅ、と流れ出した液体の感触を思い出して、びくりと震える。
「貴方が、こんなにも淫らな行為に耽る方だなんて・・・例え、私が仰る様に捕まっていたとしても、こんな風にはなりませんよ。えぇ」
淡々と、王に対して言わないような言葉を発し続ける菊。
それでも、衰弱している判断力では気づけない。
「もう、私のことは放って置いてください。もう二度と、顔も見たくはありません。・・・イヴァンさんとお幸せに」
そう言うと、菊は姿を消した。
最後の、お幸せに、は何でなのだろうか。
などと考えることも出来ない頭では、『拒絶』されたことしか理解できなかった。
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