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「ねぇ、王君。本田君って元気かなぁ?」
「え!?な、何言ってるあるか!菊は元気に決まって・・・!?まさか、お前・・・!」
菊に何もしてねぇあるよな!?と、うろたえてしまう王。
「え?なんのこと?」
「とぼけんなある!早く我を案内するよろし!!」
てっきりイヴァンが何かしでかしたと思い込んで、急かす王。
でも、ただ聞いただけなのにこんな反応されると、少し意地悪したくなるよね?と思い、こっちだよ、と王を誘った。
素直に付いて来る王にこっそり苦笑しながらも、前に見つけた暗い部屋に彼を連れて行った。
滅多にないチャンスだと思った。
そう、イヴァンの想いを伝えるチャンスだと。
そして、あまりよく見えない闇の中で、「菊、居るあるか!?」とか健気に叫ぶ姿を見て、伝えるべき想いは嫉妬で捻じ曲がってしまった。
鍵を掛けて、そんなに広くない部屋に2人きりになる。
「いねぇあるな。イヴァン、本当にここに菊はいるあるか?」
「え?僕は一言もそんな事言ってないよ?それに、さっきのは本当に調子を聞きたかっただけだしね」
うふふ、と笑うイヴァン。
「な・・・!」
騙したあるか!?と言いたげな瞳がイヴァンを見つめる。
が、そんな表情も見えないままでは意味がなかった。
「で、さ、王君」
いつもの笑みを浮かべて、彼より身長のあるマフラーの青年は言葉を紡ぐ。
「それより、僕君の事が好きなんだ。だから、付き合ってくれる?」
今言うべきではない言葉だったが、それに気づいていないのか告白するイヴァン。
でも、その言葉は正確な意味では伝わっていなかったようだ。
「『それより』って何あるか!菊の一大事かも知れねぇあるよ!?さっさとここから出すある!」
わーわー騒ぐ王。
それを拒否と取ったイヴァンは、それなら僕がどれだけ君が好きか解ってくれれば、きっとほだされてくれるよね、と考えた。
そして、それには一線を越える必要があるという結論に至った。
幸い、従わせるだけの材料はある。
あとは、それを使って王に自分の想いをぶつけるだけ。
イヴァンは、友人作りだけでなく、恋人作りに対しても不器用な男であった。
そして、言うことを聞いてくれればここから出すし、本田君のことも助けてあげるよ、と言って、冒頭のシーンに戻るのであった。
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