第一章

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人間の様子を見たり、周囲の風景を眺めていると次第に日が傾いてきた。 ちなみに昼ご飯は、持ってきたサンドイッチですませた。 夕闇が広がっていくのを感じながら、俺は行動を開始した。 帰り支度をしながら、人間を見る。 怪我したーまだあどけなさの残るー少年を残すほど俺も酷くもない。 俺は少年を布で包むと、風魔法『浮遊』で持ち上げた。 この世界『フェルトニカ』は、魔法の定義に『属性』という縛りが殆どない。 確かに、得意不得意が有ったり高等魔法使いしか使えないような魔法もある。 だが、得意不得意は誰にでもあるだろう。しかし、訓練をすれば自ずと苦手な属性も使用しやすくなる。 高等魔法使いが使う魔法には、魔力のコントロールが一番大切である。 コントロールが出来なければ、自然界にある『マナ』から魔力を見つけ出す事も出来ない。 さらには、自然界の魔力の協力(契約)してもらうかがポイントになってくる。 こんな事からいろいろな魔法を使えるわけだが、徐々に森が闇に包まれていく。 現在は夏。この森は昼間の気温は高いが、夜になると結構冷える。 さっさと自宅に帰りたいのだが此処からは歩いて30分、走っても10分はかかる。 しかも、荷物(少年)がある為走るのは少しきつい。 …仕方がない。転移用魔術陣を使うか。 (出来れば使いたくないのだけれど…)と思いながらも、ポケットから魔術陣を取り出す。 ちなみに、この森には転移系の魔法や魔法陣が使えない。 使用できるのは魔法や魔法陣より高度な、魔術や魔術陣だ。 そんなことを考えながら、俺は緊急用の自宅前に転移する魔術陣を発動させる。 何故、自宅『前』なのかは家の防御・防衛を・防犯を強くしすぎて、どんなに頑張っても家の中に転移出来なかった為である。 今では(ちょっとやりすぎたかな)と思っているが修正する気はない。 ちょっとした反省?をしているうちに、湖から自宅前に俺たちは転移していた。
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