第一章

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自宅付近に着いた。 何故だ? 自宅前に設定したのに、結構離れているのだろう? 疑問に思い、ふと考えて見る。 [あっ…] 人除けの結界だ。 何時もは俺のみのため、結界が発動される事は殆ど無い。 しかし今はどうだ? 気を失っているとはいえ、人間がいるではないか。 確か…近くに俺以外の生き物がいると、この結界は発動する。 理由は簡単だ。 俺以外の者を、この人除けの結界に気づかせないためだ。この結界は、人除け以外にも防御の力を組み込んでいる。 しかし、人除けがメインである為、防御の力は家に懸けた力の足元にも及ばない。 その為他の者がこの結界に気づき、破壊されることの無いようにしているのだ。 この少年の仲間がこの森にいないだろうか? 湖で治療中、少年の仲間らしき者には一度も会わなかったが、念の為に気配を探知してみる。 探知を行うために、俺は眼を閉じ集中した。 ちなみに、俺の探知は魔力を使わない。 マナに力を貸してもらう事で発動させる。 理由(ワケ)は簡単。 この森は魔導による探知について、どんなに高度なものであろうと発動しないのである。 森自体が、探知の魔導を拒否しているかのように感じられる程である。 この理由は知っているが今は関係ない。 まぁ… 俺にとっては、人に見つかる可能性が低くなるため、嬉しい事ではあるがな… マナの力を借りての発動は魔力を使わない為、魔導には分類されない。 また、マナを感じる事の出来る生き物は少ない。なので、もし俺を監視している奴がいてもそいつに、ばれることがない。 この森でマナの力を借りての探知は、一番安全な身の守り方かもしれない。 [ふぅ…] 探知の間止めていたであろう息を吐き、探知を止める。 そして、閉じていた眼を開けた。 どうやらこの森には今現在、少年以外の人間はいないようだ。 監視系の魔導もこの森では使えないため、少年を遠くから見ているものもいないだろう。 監視の目もない事が分ったため、俺は人除けの結界に向かい結界内に入る手続きをする。 少年を一応『客人』と設定し、一時的に結界内へ入れるようにした。
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