第一章

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結界内に入るための手続きを済ませると、人が1人入れるくらいの大きさの穴が開いた。 とりあえず、『浮遊』で浮かせていた荷物…少年を慎重に魔法で操りながら、結界の中に入れる。 問題なく入ったのを確認すると、俺も中に入る。 結界に手をかざし、魔力を込めると穴は塞がった。 穴を塞いだ後、俺は自宅の在るべき場所へ向かう。 自宅が在るべき場所と言っても、『アタリ』の場所で操作をしないと意味がない。 結界内…庭を入ったところから少し進んで行くと、地面に見落としそうなほど小さな印がある。 俺は、その印を見つけると、印に向かって足を進める。 印のある場所に着くと、その上に俺は乗った。 印のある場所に意識を集中し、魔力を練る。 ある程度練り上げた魔力を印に込めると、印が淡く輝き目の前に自宅が現れた。 [よし、何時も通り解除出来た] 自宅が現れた事に満足しながら、俺は次の作業に移る。 丁度、目の前に現れた玄関に俺は右手をかざす。 かざした方の手に魔力を込めると、鍵が空中に現れた。 浮いている鍵を、扉にかざしていた右手でとる。 俺はその鍵で、玄関のロックを解除した。 カチャとロックが解除される音が鳴ると同時に、鍵穴に刺していた自宅の鍵が消える。 これは何時もの事なので気にせず、少年を魔法で浮かせたまま慎重に自宅の中に入れた。 自宅に入ると俺はすぐに使ってない客間へ向かい、魔法で簡単に掃除をする。 幸いにも数日前に、家全体に浄化の魔法を掛けていたため、そんなに汚れてはいなかった。 掃除をした客間に、少年を浮遊で浮かせたまま連れて行く。 客間に備え付けられているベッドの上に少年を寝かせ、簡単な洋服を創造魔術で創りだし着替えさせる。 少年が着ていた服は、浄化の魔法をかけて汚れを落とし、サイドテーブルの上に畳んで置いた。 とりあえず、治療用の魔術陣を少年にかけ様子を見る。 ちなみに風属性『浮遊』は、客間のベッドに寝かせるまで一度も解かなかった。 たしかに、他の作業をするとき少しだけ大変ではあった。 しかし、地面に少年を寝かす事で、少年の体調が悪くなるのは避けたい。 はっきり言ってこれ以上体調が悪くなるでは、俺が面倒だからな。
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