第一章

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「とりあえず、何から話せばいいかな? …あぁ、自己紹介がまだだったね。俺はこの家の住人、クライシスだ。因みに、この家には俺以外住んでいないからな。 少年、君の名前は? 何時までも名前が分らないと、不便だからね」 「えっと、ベルクです。ベルク・キーライト」 俺が名前を聞くと少年ーベクルは、少し警戒をしながらも答えてくれた。 うん、性格はいい方だ。 俺のこと敵視して、答えてくれない奴よりもよっぽどいい。 「確か…何故、君がこの家にいるかだよな。 それは、君が森の奥の湖の畔で倒れていたのを俺が見つけて運んだからだ。 見つけた時は吃驚したぞ。こんな森の奥深くで倒れているんだからな。 因みに言って置くが、この森には滅多に人が来ない。ましてや、あんな森の奥に行く奴なんて殆どいないよ。 俺もあの場所で、人にあったのは初めてだったしな」 そこまで話すと、少年は驚いたような何かを思い出したような表情をした。 「そうか…俺は、ギルドの依頼で調査中、サリアウルフとの戦闘終了後身体が可笑しいことに気づいたんだったけ… 身体の異常はおいといて、血の匂いのするところから、離れようとしたんだ。血の匂いがする所は、危険だから… 其れで移動して、湖らしき所に着いた。その後から、記憶がない。 多分あの後、気を失ったんだ…」 ベクルは、ブツブツ何かを言った後、はっとしたような表情をした。 「あのっ、クライシスさん。 助けてくれてありがとうございます」 ベクルは、俺の顔を見ながら、お礼を言った。顔と言っても、フードを被っているため見えないだろうが… 「いや…どういたしまして。お前は、運が良かったんだよ。デルティアウルフの毒に侵されて、そんなに経っていない所に俺が来たんだから… あと少し、遅かったら死ぬか、助かっても後遺症が残っていたところだしな…」 ベクルのお礼に少し戸惑う。滅多にお礼なんて言われないからな… しかし、本当にベクルは危ないところだった… デルティアウルフの毒は危険だ。しかも、違うウルフ種に似ているため質が悪い。 「デルティアウルフ?サリアウルフではなくて?あと、そんな名前のウルフ、ウルフ種にいましたっけ?」 ベクルは、訳が分らないといった表情をする。 まあ、聞いたことの無い言葉がでたら誰だって混乱するよな…
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