第一章

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「あぁ、お前が戦ったのは、サリアウルフではなくてデルティアウルフだろう。 デルティアウルフはこの森の奥深く、お前が倒れていた辺りまで行かないと現れないウルフ種だ。 特徴は、お前も見た通りサリアウルフに似ているが、強さは歴然。 デルティアウルフの方が強い。また、このウルフしか持たない特殊な毒を持つ。これがまた、厄介なんだよな… 俺の総合的な見方だと、デルティアウルフ一匹に対して、サリアウルフ十匹位の力の差はあるだろうな」 『サリアウルフ』とは、橙色の毛並みに茶色の瞳を持つウルフ種だ。 サリアはサリアスから取って付けられた。その名の通り、昼行性であり、昼間のサリアスが出ている時間帯に行動する。 特に、平原や草原などのサリアスの光が良く届くところに生息する。 また、光や火系統の魔法を使うこと。 『デルティアウルフ』とは、赤橙色の毛並みに茶色の瞳を持つウルフ種だ。 大きさも毛並みの色もサリアウルフと似ている。特に暗がりでは見た目では見分けるのが難しい。 違った点は、デルティアウルフはこの『始祖の森』にしか生息しないということ。 因みに、この森にサリアウルフは生息しない。 そして、毒系統の魔法を使うことだ。 しかし、デルティアウルフはこの森にしか生息しないため、一般的に知られていない。 その為、この森に来た殆どの人間が、サリアウルフと間違うだろう。 まぁ…唯一の救いは、昨日ベクルを発見した湖の付近まで行かないと、現れない事だろう。 「そうですか、サリアウルフはこの森に生息していないのですか」 サリアウルフとデルティアウルフの違いについて大まかに説明をすると、ベクルは納得したようだ。 満足したような様子にほっとする。これ以上専門的に話すのは気が遠くなるしな… 「あの、もう1つ質問なんですけど…」 「何かある?俺が分ることだったら答えるけど?」 気まずそうに言うベクルに、軽く質問の内容を促す。 「えっと、俺が動けないのはデルティアウルフの毒のせいですか? 何時まで動けないのでしょうか?」 ベクルの質問にはっとする。そういえば、その事についてまだ話していなかった。 説明必要だよな… 「そういえば、話していなかったね。 たしかに、デルティアウルフの毒せいでもあるよ」 「じゃあ、まだ毒は「人の話は、最後まで聞く」…はい」 焦った様子のベクルに一喝し、話しを続ける。
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