第一章

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「えっと…俺、どの位寝ていたんだ?」 「ん?約一日だ」 ベクルの質問に簡潔に答え、サンドイッチを食べる。 …一日経つと、乾燥するな。口の中がモソモソする… やっぱり、きちんと仕舞って置けば良かった… 「良かった。そんなに経っていないんだ…。…どのくらいで、動けるようになるかな?」 「…普通に歩けるようになるまでは、十日は最低掛かるだろう…。動けるまであと一日か二日は掛かる。リハビリもしなければ、ろくに歩けないだろうな…」 口の中に入っていたものを飲み込んでから、大体の予想を伝える。 本当に、デルティアウルフの毒は厄介だ。特定の方法でしか解毒できない上に、しばらくの間麻痺が残るのだから… 「…えっ!?十日も掛かるのか…。如何すればいいんだ?今日の夕方までに帰還しなければ、いけないのに…」 ベクルは、俺の返答を聞くと焦ったような表情をして、ブツブツと呟いている。 聞こえてくる単語からすると、何やら直ぐにでも帰らないといけないようだ。 「どうした?何か困ることでもあるのか?」 「ええっと…帰らないといけないんだ。心配するだろうし…」 やはり、「帰らないといけない」だったか… この場所に来るという事は、何か「用事」がないとこれないだろうし… 貴族の「捨て子」は、この森には送られて来ないしね。転送魔法陣はこの森に「拒否」されるから…
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