第一章

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転移魔法陣が拒否されるのは前にも挙げたが、詳しく説明すると結構ややこしい。 今は必要もないので、説明する必要もないだろう。 「森の入り口までなら、送ってやろうか?入り口に迎えを呼べば帰れるだろう?」 困っている様子だったのでそう伝えると、ベクルは驚いたような表情をしてこちらを見た。 「いいのか?迷惑だろうし…俺、歩けないぞ?どうやって、森の入り口まで行くんだ?」 「そのことに関しては、心配する事は無い。ちゃんと、方法がある」 「でも、迷惑だろ?」 「迷惑?治ってから帰るのか?」 「あぁ…」 「…馬鹿か?お前ひとりでは危険だ。この森がどんな所か知らない奴が一人で歩くなんて、自殺行為だぞ。それに、怪我して俺の所に戻って来られたら、それこそ迷惑だ!」 俺は、ベクルの安易な考えに怒りを覚えた。 気が付けば、ベットに寄りかかっているベクルに掴み掛っていた。 「…すまん。取り乱していたようだ。怪我人のお前に、掴み掛るなんて…」 「い…いや…俺も悪かった…」 気まずい雰囲気… 居た堪れなくなった俺は、食べ終えた食器を持ち立ち上がった。 「どこ行くんだ?」 部屋を出ようとした所で、ベクルに声を掛けられた。 「…食器をかたずけてくる。その後、お前を森の入り口まで送ってやる。迎えに来る奴に連絡しとけよ…」 振り返りベクルを見る。困惑した様な表情をしている… 見ていられなくなり、ベクルから視線を外し要件だけ伝え部屋を出た。 その時、自分が辛そうな表情をしていた事は、気づきもしなかった…
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