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「ありがとう。まさか、とってあるとは思わなかった…」
「そうか。今は、着れないだろうから今着ている服と…このローブでも羽織っておけ」
俺はそう言いながらボックスから使っていないローブを取り出し、ベクルに着せる。
「うん。…連絡するよ」
ベクルはそう言うと、眼を閉じた。
無属性『念話』でも使っているのだろう。『念話』は、ランクが低く誰でも使える通信系の魔法だ。念話を使用中は集中するためか目を閉じたりする者もいるが、器用な奴は『念話』をしながら普通に行動したり、会話をする者もいる。
数分経つと、ベクルは目を開き此方を見た。
「連連絡取れたか」
「うん。迎えに来てくれるって」
「そうか。なら、此方も行くか。」
俺はベクルにそう言うと、『ボックス』を発動させ小さな入れ物を取り出す。
大きさは、カードケース位のサイズで手のひらに収まる。色は黒く、材質は滑らかだ。
入れ物と最初に呼んだが、コレに物を入れる口の部分はない。
魔導陣を使用した特殊な方法で出し入れする。
魔導陣保管ケース型倉庫と正式には言う。しかし、長いため『ケース』と俺は呼んでいる。
そのケースに手を翳し、1つの転移系魔術陣を取り出した。
手のひらに現れたのは、1本の巻物のようなもの。
移動系統の魔導陣は陣の上に乗って発動させるタイプが多いため、他の陣よりも大きい。
中には直径数十メートル以上もあるものも存在ずる。
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