第一章

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暗闇の中から呼び起される… そんな感覚になるのは、何故だろう? あの日から見なくなった普通の夢。 『普通』などと、夢に区別をつけるのは可笑しいのだろうけれども、思ってしまう。 「『人間』になりたい」 そう願うのは、間違っていたのだろうか? あの過ちを犯した日から、俺の日常は変わってしまった。 ……もう考えるのはやめよう。 朝からネガティブなのは、ごめんだ。 寝ていたベッドから起き上がり、顔を洗うために洗面所へ… 洗面所はクリーム色の壁をしており、まだ夢の中にいるような感覚だった俺を呼び戻す。 水を出し顔を洗い、タオルを取る為に顔をあげる。 ふとした瞬間、前にある鏡に目を向けてしまった。 「はあ…」 鏡を見ると必ずと言っていいほど、溜息を吐いてしまう。 鏡の中に俺の姿はない。 あの過ちを犯した日から、俺ークライシス・レイ・ユージリアーは、透明人間になってしまったからだ。 あの時、何故『人間』になりたいと、思ってしまったのだろう… 他と違くとも、俺は俺ではなかったのだろうか?
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